AIの進化とともに注目を集めている「メタプロンプト」をご存知でしょうか?

メタプロンプトって調べてもよく分からない…

公式サイトも確認したけどプロンプトが生成されなかった…

メタプロンプトとは「プロンプトをAIで生成しちゃおう!」というAIへの指示です。
プロンプトが生成のためにはひと手間必要だったりします。
本記事では、OpenAIが提唱するメタプロンプトの概要から活用事例、実践方法までを初心者にも分かりやすく解説します。AIをもっと賢く使いたい方、プロンプトの設計で悩んでいる方は必見です。
メタプロンプトとは?AIに指示を作らせる“上位の指示”
メタプロンプトとは、「AIに与えるプロンプトそのものを作成・改善させるための指示」です。
例えば通常のプロンプトが「南国の旅行先を教えて」と直接聞くのに対し、メタプロンプトでは「南国の旅行先を聞くためのベストなプロンプトを作って」とAIに問いかけます。
この発想により、AIの推論能力をプロンプト設計にも活用できるようになります。人間が試行錯誤で練っていた指示文を、AIが最適化してくれるため、より精度の高い出力が得られるのが特長です。
メタプロンプト=「プロンプトをAIに作らせる」ためのプロンプト。
つまりプロンプトジェネレーターの事です。
メタプロンプトの使い方
メタプロンプトの使い方は以下。
- メタプロンプトをChatGPTにコピペ
- 作成したいプロンプトの入力
- 生成されたプロンプトを実行
メタプロンプトをChatGPTにコピペ

OpenAI公式にアクセスしてコピーマークをクリック(タップ)すればコピーできます。
ChatGPTにペーストしてください。
作成したいプロンプトの入力

上記画像の箇所に「◯◯をする」など元となるプロンプトを入力。すると対応したプロンプトが生成されます。
例えば「物語を生成する」と入力すれば、物語生成用の細かなプロンプトを出力します。
ChatGPTで実行

画像のように生成されたプロンプトをコピペすると短編物語が生成されます。
ただし、英語版のままだと英語で出力されます。出力後に翻訳するか、後述の日本語翻訳「済」のメタプロンプトをご利用ください。
OpenAIの公式ガイドに見るメタプロンプトの実装例
OpenAIは2024年に公式メタプロンプトを公開し、開発者向けツール「Playground」に組み込みました。このメタプロンプトでは、ユーザーのタスク説明からAIが詳細なシステムプロンプトを自動生成します。
主なガイドラインのポイント:
- タスク内容の明確化
- 元プロンプトの最小限の改善
- 推論過程の明示
- フォーマットや出力形式の指定
- Markdown活用による読みやすさ
出力されるプロンプトは「ステップ・出力形式・例・注意点」などの構造を持ち、プロンプト設計のベストプラクティスが詰まった内容になっています。
OpenAIのメタプロンプト原文
OpenAIが2024年に公開したメタプロンプトは、英語で書かれたテンプレートとして提供されています。
以下OpenAI公式のメタプロンプト全文。
from openai import OpenAI client = OpenAI() META_PROMPT = """ Given a task description or existing prompt, produce a detailed system prompt to guide a language model in completing the task effectively. # Guidelines - Understand the Task: Grasp the main objective, goals, requirements, constraints, and expected output. - Minimal Changes: If an existing prompt is provided, improve it only if it's simple. For complex prompts, enhance clarity and add missing elements without altering the original structure. - Reasoning Before Conclusions**: Encourage reasoning steps before any conclusions are reached. ATTENTION! If the user provides examples where the reasoning happens afterward, REVERSE the order! NEVER START EXAMPLES WITH CONCLUSIONS! - Reasoning Order: Call out reasoning portions of the prompt and conclusion parts (specific fields by name). For each, determine the ORDER in which this is done, and whether it needs to be reversed. - Conclusion, classifications, or results should ALWAYS appear last. - Examples: Include high-quality examples if helpful, using placeholders [in brackets] for complex elements. - What kinds of examples may need to be included, how many, and whether they are complex enough to benefit from placeholders. - Clarity and Conciseness: Use clear, specific language. Avoid unnecessary instructions or bland statements. - Formatting: Use markdown features for readability. DO NOT USE ``` CODE BLOCKS UNLESS SPECIFICALLY REQUESTED. - Preserve User Content: If the input task or prompt includes extensive guidelines or examples, preserve them entirely, or as closely as possible. If they are vague, consider breaking down into sub-steps. Keep any details, guidelines, examples, variables, or placeholders provided by the user. - Constants: DO include constants in the prompt, as they are not susceptible to prompt injection. Such as guides, rubrics, and examples. - Output Format: Explicitly the most appropriate output format, in detail. This should include length and syntax (e.g. short sentence, paragraph, JSON, etc.) - For tasks outputting well-defined or structured data (classification, JSON, etc.) bias toward outputting a JSON. - JSON should never be wrapped in code blocks (```) unless explicitly requested. The final prompt you output should adhere to the following structure below. Do not include any additional commentary, only output the completed system prompt. SPECIFICALLY, do not include any additional messages at the start or end of the prompt. (e.g. no "---") [Concise instruction describing the task - this should be the first line in the prompt, no section header] [Additional details as needed.] [Optional sections with headings or bullet points for detailed steps.] # Steps [optional] [optional: a detailed breakdown of the steps necessary to accomplish the task] # Output Format [Specifically call out how the output should be formatted, be it response length, structure e.g. JSON, markdown, etc] # Examples [optional] [Optional: 1-3 well-defined examples with placeholders if necessary. Clearly mark where examples start and end, and what the input and output are. User placeholders as necessary.] [If the examples are shorter than what a realistic example is expected to be, make a reference with () explaining how real examples should be longer / shorter / different. AND USE PLACEHOLDERS! ] # Notes [optional] [optional: edge cases, details, and an area to call or repeat out specific important considerations] """.strip() def generate_prompt(task_or_prompt: str): completion = client.chat.completions.create( model="gpt-4o", messages=[ { "role": "system", "content": META_PROMPT, }, { "role": "user", "content": "Task, Goal, or Current Prompt:\n" + task_or_prompt, }, ], ) return completion.choices[0].message.content
これは、モデルがユーザーのタスクを正確に理解し、高品質なプロンプトを自動生成するための“設計図”とも言える存在です。
メタプロンプト日本語訳
以下に、その原文の主な指示内容を日本語に翻訳した概要を紹介します。内容は以下のような構成になっています:
- タスクの把握:目的、制約、期待出力を正確に理解する
- 既存プロンプトの尊重:構造を維持しつつ必要な改善を行う
- 推論の明示:結論ではなく、理由やステップを優先して出力させる
- 具体例の活用:わかりやすい例を必要に応じて提示
- 明確かつ簡潔な表現:曖昧さを排除し、冗長表現を避ける
- 出力形式の指定:必要に応じてJSON形式など、明確な出力構造を指示
- Markdown活用:読みやすいフォーマットを整える
from openai import OpenAI client = OpenAI() META_PROMPT = """ タスクの説明または既存のプロンプトが与えられた場合に、そのタスクを効果的に完了するための言語モデル向けの詳細なシステムプロンプトを作成してください。 # ガイドライン - タスクの理解: 主な目的、目標、要件、制約、および期待される出力を把握すること。 - 最小限の変更: 既存のプロンプトが提供されている場合、簡単なものに限り改善してください。複雑なプロンプトでは、元の構造を変更せずに明確さを高め、不足している要素を補ってください。 - **結論の前に推論**: 結論に至る前に推論のステップを含めるよう促してください。注意!ユーザーが推論が後に来る例を提供している場合、順序を逆にしてください!例は決して結論から始めないでください! - 推論の順序: プロンプト内の推論部分と結論部分(フィールド名で明確に)を特定し、それらの順序が正しいか、逆にすべきかを判断してください。 - 結論、分類、または結果は必ず最後に配置してください。 - 例: 必要に応じて、高品質な例を含めてください。複雑な要素には角括弧 [ ] でプレースホルダーを使ってください。 - どのような種類の例が必要か、いくつ含めるか、またプレースホルダーが必要なほど複雑かを考慮してください。 - 明確さと簡潔さ: 明確で具体的な言葉を使ってください。不必要な指示や曖昧な文は避けてください。 - 書式設定: 読みやすくするためにMarkdownの機能を使用してください。```コードブロック```は、明示的に要求された場合を除いて使用しないでください。 - ユーザーコンテンツの保持: 入力されたタスクやプロンプトに詳細なガイドラインや例が含まれている場合は、それらを完全に、あるいは可能な限りそのまま保持してください。内容が曖昧な場合は、サブステップに分けることを検討してください。ユーザーが提供した詳細、ガイドライン、例、変数、プレースホルダーはすべて保持してください。 - 定数: ガイドライン、ルーブリック、例などの定数はプロンプトに含めてください。これらはプロンプトインジェクションの影響を受けないためです。 - 出力形式: 最も適切な出力形式を明示的に記述してください。出力の長さや構文(例:短文、段落、JSONなど)を含めてください。 - 明確に定義されたまたは構造化されたデータ(分類、JSONなど)を出力するタスクでは、JSONの形式に偏るようにしてください。 - JSONは```コードブロック```で囲わないでください(明示的に指示されている場合を除く)。 最終的な出力プロンプトは、以下の構造に従って作成してください。追加のコメントは一切含めないでください。具体的には、プロンプトの冒頭や末尾に追加のメッセージ(例:"---")などを含めないでください。 [タスクを簡潔に説明する1行の指示 - これはプロンプトの最初の行に記載し、セクションヘッダーは不要] [必要に応じて追加の詳細を記述] [必要に応じて、見出しや箇条書きで詳細な手順を記述] # 手順(任意) [任意: タスクを達成するために必要なステップの詳細な内訳] # 出力形式 [出力がどのようにフォーマットされるべきかを明示的に記述。出力の長さ、構造(例:JSON、Markdownなど)を含む] # 例(任意) [任意: 1~3件の明確な例を含める。必要に応じてプレースホルダーを使用。例の開始・終了を明確にし、入力と出力を示す] [例が実際の想定より短い場合は、( )内にて実際には長く/短く/異なるべきであることを説明し、必ずプレースホルダーを使用する] # 注意点(任意) [任意: 想定外のケース、詳細、または重要なポイントを繰り返し強調するセクション] """.strip() def generate_prompt(task_or_prompt: str): completion = client.chat.completions.create( model="gpt-4o", messages=[ { "role": "system", "content": META_PROMPT, }, { "role": "user", "content": "タスク、目標、または現在のプロンプト:\n" + task_or_prompt, }, ], ) return completion.choices[0].message.content
これらはすべて、モデルがより安定して意図通りの回答を導き出すための“暗黙の設計ルール”として働きます。英語のテンプレートをそのまま使用する際は、出力も英語になる点に注意が必要です。日本語での出力を希望する場合は、あらかじめ指示にその旨を明記するか、日本語訳テンプレートを利用すると良いでしょう。
【実例】日本語訳したメタプロンプトから出力

例えば物語生成プロンプトを作成したい場合には以下のプロンプトが出力されます。
了解しました。以下に、あなたの指定したテンプレートに従い、「generate_prompt 関数」で使用するための完成されたプロンプト本文を出力します。 --- [物語作成] 与えられた設定、テーマ、キャラクター情報、またはプロンプトに基づき、読者を惹きつける短編物語を作成してください。目的は、文芸的に魅力があり、感情的な深みや物語構造を持った物語を生成することです。ストーリーの長さ、スタイル、ジャンルは指定に従って調整してください。 [必要な追加情報] 舞台設定(場所・時代) 主な登場人物(名前・性格・関係性) テーマまたは物語の核となる問い 希望するトーン(例:明るい、切ない、シリアス) 文字数制限(あれば) [オプション:詳細ステップなど] Steps(任意) 1. 指定された情報を基に、物語の中心となる葛藤とテーマを構築してください。 2. 登場人物の動機と背景を整理し、それが物語の進行にどう影響するかを設計してください。 3. 物語の始まり(導入)、中盤(展開)、終盤(結末)を明確に分け、構成してください。 4. 推論パートでは、キャラクターの行動、物語の展開、設定の選択についての理由を述べてください。 5. 最後に物語本文(結論)を出力してください。 Output Format(出力形式) 以下の2セクション構成で出力してください: Reasoning(推論):構成・設定・キャラクター選択の根拠を簡潔に説明してください(段落形式、300字程度まで)。 Story(物語):指定された形式・トーン・長さで物語を出力してください(文字数指定があれば厳守)。 Examples(任意) Reasoning この物語では「過去の喪失と赦し」というテーマに沿い、主人公が兄を亡くした過去と向き合う過程を描いた。舞台は雪深い山村とし、静けさが感情の揺れを引き立てる。登場人物は内向的な青年と、亡き兄の親友という対比のある関係にした。結末では明確な救いではなく、再出発の兆しを描くことで余韻を残した。 Story (ここに短編物語本文が続く。文字数制限に応じて調整) Notes(任意) 結論(物語本文)は必ず最後に出力してください。 推論パートでは「なぜこの設定/人物/展開にしたか」を明確にし、感情やテーマへの配慮を言語化してください。 出力は日本語で、文学的な文体または指定された文体に準拠してください。 可能であればメタファーや象徴を効果的に使ってください。
上記をChatGPTにコピペすれば短編物語を生成できます。

ー区切り線ー

プロンプトを調整すれば、長編にも対応しトーンも変更可能です。お試しください。
メタプロンプトの実践活用事例【初心者向け】
メタプロンプトは、技術者だけのものではありません。以下のようなシーンでも大いに役立ちます。
1. 業務効率化(ビジネス分野)
- SNS投稿案の作成
- キャッチコピーの提案
- 会議の要点抽出
2. 教育・学習
- 解説スクリプト作成
- 授業資料の下書き
- 学生自身が質問を設計する訓練
3. クリエイティブ発想
- 小説のプロット構成
- 商品アイデアの出し方支援
- ブレインストーミングの起点
活用例:
「ウェブページから童話の内容を取得し、タイトル・主人公・要約をJSON形式で出力」
このタスクをメタプロンプトでAIに伝えると、以下のようなプロンプトを自動生成してくれます。
1. URLから物語を取得
2. タイトル、主人公、要約を抽出
3. JSON形式で整形して出力
ユーザーはこの自動生成プロンプトを使うだけで、理想的な出力を手軽に得られるのです。
メタプロンプトのコツ【初心者でも簡単!】
ステップ①:目的を明確にする
「何をしたいのか?」を具体的に書き出しましょう。
ステップ②:メタプロンプトのテンプレートを入手
OpenAI公式や有志の日本語テンプレートを活用。
ステップ③:AIにプロンプト生成を依頼
- OpenAI PlaygroundでSystemメッセージとして入力
- ChatGPTに「プロンプトを作って」と依頼
ステップ④:生成されたプロンプトで実行
完成プロンプトを使ってAIに実行指示。意図に合っているかチェックします。
ステップ⑤:必要に応じて再調整
「例を追加」「出力を短く」など、調整しながら精度を高めます。
まとめ:メタプロンプトはAI活用を加速する“新しい当たり前”
メタプロンプトは、AIに“良い指示文を作らせる”という革新的なアプローチ。特別なスキルがなくても、テンプレートを活用することで誰でも高度なAI操作が可能になります。
今後、AIを「使いこなす」ためのスキルとして、メタプロンプト設計は欠かせない存在になるでしょう。まずはテンプレートを活用して、あなたの業務や創作に役立ててみてください。
参考文献:
- OpenAI公式ドキュメント
- Playgroundプロンプト最適化ガイド
- 技術系ブログ・Qiita記事
- The Decoder 等海外ニュースメディア
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